顔料インクと染料インクの違いとは?|プリンター&筆記具選びで失敗しない基礎知識

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顔料インクと染料インクの違いとは?|プリンター&筆記具選びで失敗しない基礎知識
目次

はじめに

「顔料インク」と「染料インク」という言葉を聞いたことがありますか?

日常生活で意外と重要なこの2つのインクの違い。私の場合、筆記具プリンターを選ぶ際に特に関わってきました。実はこの知識、あなたの生活の様々な場面で役立つかもしれません。今回は私の実体験をもとに、それぞれのインクの特徴とメリット・デメリットを解説します。

顔料インクと染料インクの決定的な違い

水に対する耐性の違い

顔料インクと染料インクの最も大きな違いは、乾いた後に水で濡らした場合の挙動にあります。

  • 染料インク: 水をかけると溶け出してしまい、滲みます
  • 顔料インク: 乾いてしまえば水をかけてもにじみません

私がこの違いに初めて気づいたのは、学生時代の苦い経験からでした。

筆記具で実感した顔料インクと染料インクの違い

万年筆とノートの悲劇

学生時代、私は万年筆のサラサラとした書き味が気に入っていて、授業のノートをすべて万年筆で取っていました。

ある日、試験が近づき復習のためにカバンから取り出したノートを見て唖然としたのです。前日の雨でノートが濡れてしまい、万年筆で書いた文字が滲んでしまって、ノート全体がインクまみれで使い物にならなくなっていました。

実は似たような体験が大学予備校時代にもありましたが、その時はボールペンを使っていたため、ノートが雨に濡れても文字が滲むことはありませんでした。

インクの特性を知る

この経験をきっかけに筆記具で使われているインクについて調べてみると、大きく分けて以下の3種類があることがわかりました:

  1. 染料インク:水をかけると溶けて滲む
  2. 顔料インク:乾けば水をかけても滲まない
  3. 油性インク(ボールペンなど):水に強い

その後、万年筆のインクを染料インクから顔料インクに変えて使ってみたこともあります。すると、それぞれのインクの特性がより明確になりました。

万年筆における2つのインクの特性

  • 染料インク:乾いても水で溶けるため、万年筆の先端にインクが残っていても、インクタンクのインクで溶けてくれるので固まることがありません。
  • 顔料インク:万年筆の先端で乾くと固まってしまい溶けないため、インクが詰まってしまうことがあります。

この経験から、万年筆では顔料インクを使うことを諦め、代わりに文具店で見つけた顔料インクを使用した水性の筆記具を使うようになりました。

プリンターで体験した顔料インクと染料インクの決定的な違い

色あせする写真カレンダーのショック

次に顔料インクと染料インクの違いを強く意識したのは、プリンターで印刷した写真に関する出来事でした。

子供が生まれた時、子供の写真をカレンダーと組み合わせて印刷し、実家の両親に送って使ってもらっていました。印刷した当時は子供の写真が鮮明に美しく写っていたのですが、1年近く経った頃に実家でそのカレンダーを見た時、驚愕しました。

子供の写真が色あせてしまって、あれほど美しかったカレンダーが台無しになっていたのです。

プリンターインクの選択

この経験から、プリンターのインクにも染料インクと顔料インクの2種類があることを知りました。

大切な写真など、時間が経過しても色褪せないでほしい印刷物には、染料インクではなく顔料インクを使ったプリンターが適していることがわかりました。

その後、「100年プリント」などの色あせしないことを謳った宣伝文句も見かけるようになりましたが、1年後に色褪せした子供の写真を見た時のショックが忘れられず、写真に関しては必ず顔料インクを使うというのが私のプリンター選びの重要なポイントになりました。

顔料インクのデメリットとメンテナンス

インクジェットプリンターの目詰まり問題

万年筆で顔料インクを使った時の経験から、インクジェットプリンターに顔料インクを使うと、染料インクよりも目詰まりの不具合が起きる可能性が高いことも学びました。

インクジェットプリンターは細かい網目の中をインクが噴射される仕組みになっています。この細かい網目の部分が、顔料インクの場合はプリンターを使っていない間に固まって目詰まりする可能性が高いのです。

ヘッドクリーニングとインク消費

家庭用プリンターは年賀状用に年末に使う以外はあまり使わないケースが多いと思いますが、長期間使用しないと目詰まりを起こすため、ヘッドクリーニングが必要になります。

  • 染料インク:掃除に使うインクで目詰まりのインクが溶けるので、比較的少ないインク量で掃除できます。
  • 顔料インク:染料インクよりも綺麗に掃除するのにインクをたくさん使う傾向があります。

ヘッドクリーニングではインクの量が大幅に減少するため、現在ではボトルタイプの大容量インクを使用するのがおすすめです。大容量インクでない場合は、このヘッドクリーニングに使うインクの消費量を考慮する必要があります。

インクジェットプリンター選びのポイント

情報の電子化で紙に印刷する機会は減少傾向にあるとはいえ、プリンターで印刷する必要が完全になくなることはないでしょう。家庭用にプリンターを購入する際には、以下のポイントを考慮することをおすすめします。

インク関連の選択肢

  • インクの種類: 顔料インクか染料インクか
  • インク方式: カートリッジ式かボトル式か

機能面での選択肢

  1. スキャナー機能: コピー機能も含めて必要か
  2. FAX機能: 必要か
  3. CDレーベル印刷: 必要か

接続方法の選択肢

  • 有線接続: USBケーブルのみか、ネットワークケーブルも使えるか
  • 無線接続: Wi-Fi対応か、スマホからの印刷も可能か

メーカー選択のポイント

プリンターを使っていてインクが突然切れると困るので、予備のインクを簡単に手軽に入手できる方が良いでしょう。そう考えると、プリンターシェアの高いエプソンまたはキヤノンから選ぶのが無難です。

私個人としては、以下の理由からエプソンを選ぶことが多いです:

  1. キヤノンのプリンターはインクカートリッジの容量が少なく、すぐにインクがなくなってしまった経験がある
  2. キヤノンのプリンターで白い案内状の封筒を印刷した際、インクが乾くのに時間がかかり、印刷面が「水浸し」のような状態になり、大切な封筒が汚れてしまった経験が複数回ある

エプソンの場合は印刷後に他の用紙を汚すといった問題がなかったため、私の場合はインクジェットプリンターはエプソン一択となりました。

プリンターの経済性を考える

インクビジネスの実態

プリンターメーカーに勤めていた友人によると、プリンター業界はプリンターのインクで利益を出すビジネスモデルなので、プリンター本体自体は極端な話「無料であげてもいい」とのことでした。

10年以上前の情報ですが、日本のインクカートリッジの出荷本数は年間2億本だったという記事を読んだ記憶があります。インクカートリッジ1本を単純に1,000円と計算すると、日本のインクカートリッジ市場は2,000億円という規模になります。

ユーザーにとって、このインク代は本当に馬鹿になりません。そういう意味で、大容量のボトル式インクの登場はとてもありがたいことです。

大容量ボトル式インクの経済性

大容量ボトル式インクを使ったインクジェットプリンターは、当初は日本国外のみで販売されていました。それを知った日本人が逆輸入でボトル式の大容量インクジェットプリンターを使っている記事を読んだこともあります。

現在では日本国内でもボトル式インクのプリンターが販売されていますが、メーカーのビジネスモデルの都合上、ボトル式大容量インクジェットプリンターの本体価格は比較的高めです。

しかし長期的に見れば、ボトル式の大容量インクジェットは経費面でも使い勝手の点でもお得だと思いますので、家庭用でも業務用でもこのボトル式の大容量インクがおすすめです。

プリンターの追加機能を考える

FAX機能は必要か

私の前のプリンターはFAX機能が付いていましたが、現在の機種にはありません。年に数回、FAX機能があれば便利だと感じることがあります。例えば、お医者様から薬の処方箋をもらってすぐに薬局に行けない場合にFAXで処方箋を送りたい時などです。

しかし、年間数回のためにFAX機能を付ける必要もないと判断し、現在はFAX機能なしのプリンターを選びました。

かつては会社の名刺には固定電話番号とFAX番号がペアで印刷されるのが一般的でしたが、現在は固定電話番号の代わりに携帯電話番号、FAX番号の代わりに会社のウェブサイトやメールアドレスが印刷される場合が増えています。

また、FAXでのやり取りがPDFをメールで送る方法に変わってきていることや、FAX受信の多くが迷惑なダイレクトメールであることを考えると、むしろFAX機能がない方がすっきりするとも言えます。

スキャナー機能・コピー機能は便利

以前はプリンターとは別にスキャナー機を使用していましたが、プリンターにスキャナー機能があれば別途スキャナーを用意する必要がないので、現在はスキャナー機能付きの機種を選んでいます。

CDレーベル印刷機能の必要性を考える

大容量インクのプリンターにはCDレーベル印刷機能がないものを選びましたが、動画撮影をしてDVDに焼いて配布する必要がある場合には、この機能が欲しくなります。

結局、CDレーベル印刷機能だけを考えたプリンターを別に購入することになりましたが、このプリンターのインクカートリッジの価格の高さを考えると、最初からCDレーベル印刷機能付きの機種を選べばよかったと後悔しています。

CDレーベル印刷を頻繁に行う場合はこの機能が付いた機種を選ぶべきですが、年に数回しか使わない場合には代替方法もあります。

CDレーベル印刷の代替方法

最近私が採用しているのは、CDレーベル用の専用用紙に印刷し、その印刷したレーベルをDVDに貼る方法です。専用用紙への印刷設定は最初は戸惑いますが、一度設定を記録しておけば次回からは簡単です。

10年ほど前は、依頼された動画撮影のビデオをDVDに焼くために、同時に5枚複製できる専用機を用意し、それらにCDレーベル印刷をしていたため、この機能は必須でした。

しかし現在ではスマホの普及により、撮影した動画はDVDよりも元のデータを送るのが一般的になり、DVDを作成するのは例外的なケースが多くなりました。FAX機能と同様、CDレーベル印刷機能も必要性が低下しています。

接続方法の選択

最近のプリンターはネットワーク接続が標準で、Wi-Fi機能も当たり前のように搭載されています。スマホがまだ普及していなかった時代と比べ、現在はどの機種を購入しても必要な接続機能はほぼ搭載されているといえるでしょう。

念のため、以下のポイントを確認しておくといいでしょう:

  • USB接続は可能か
  • 有線ネットワーク接続は可能か
  • Wi-Fi接続は可能か
  • スマホ等からの直接印刷は可能か

まとめ

顔料インクと染料インクの違いを知ることで、筆記具やプリンターの選択において賢い判断ができるようになります。特に大切な写真や長期保存したい印刷物には顔料インクがおすすめですが、メンテナンス面や使用頻度も考慮する必要があります。

プリンター選びでは、インクの種類だけでなく、ボトル式かカートリッジ式か、必要な追加機能は何か、接続方法はどうするかなど、様々な要素を検討することが大切です。

自分のニーズに合ったプリンターを見つけるためには、この記事で紹介したポイントを参考に、じっくり比較検討してみてください。また、日常で使う筆記具選びにも、顔料インクと染料インクの知識が役立つことがあるでしょう。

皆さんが自分に最適なプリンターや筆記具を見つけられることを願っています。

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